谷川岳周辺

赤沢山(敗退)

2019212

メンバー 小松丈輔

 

前日そして当日の天気予報でも晴マークが出ていたのに、水上を過ぎると雪が横向きに降っていて、寒々しいどんより憂鬱な空だった。こんなハズじゃなかったのになぁと前向きになれない自分がいた。

土合山の家の裏手に回ると、降雪に消えそうになっているトレースがあった。それを辿って、尾根に向かう斜面を登り始める。木には赤テープも2-3巻かれており、よしよしと思って登り続けると突然トレースは消えた。かなりの急傾斜でトレースが途絶えたので、おそらく引き返したのかなと思った。なんとなく気になるのは、トレースを踏んでいることを差し引いても、雪が「沈まない」「固い」。ワカンよりアイゼンの方がいいかもなーと考えた時にはすでにワカンで降りるのに恐怖を感じる斜面にいた。ガチガチのアイスの上に薄っすらと新雪が乗っかっている。太めのブナの木の斜面上側を踏み固めて小さな平場にし、ワカンを外してアイゼンにチェンジしたものの、強まる雪と風と視界の無さに意気消沈。今日は一人だし無理はしないで慎重に降りようと決心した。アイゼンは履いたものの前を向いて降りるのは怖く、後ろ向きに前爪を効かせて慎重に下降。なんとか取り付きの山の家裏に降りた。

上手い人ならガシガシ登るのかなぁとか、勇気があれば登るかなぁとかブチブチ考えつつ、こういう経験もいつの日か活きる事があるかもしれないなどと強引に考えをまとめてみたりした。

どこにも寄る気になれず真っすぐ帰宅。家に帰ると義理のお母さんが「今日はお天気良くて素晴らしかったでしょう!」などと笑顔で迎えてくれた。一応、水上周辺の天気と今日の敗退を説明したが、うまく伝わった気がしなかった。それでも用意してくれていた美味しい晩ごはんと普段とは何かが違う酒の味を噛みしめつつ「これもまた人生、これもまた山登り」というところに着地した。不時着した。(記.小松)

 

◇コースタイム 土合駅発9:25~土合山の家9:35~山の家裏取り付き9:43815m地点にて撤退10:46~土合山の家11:11~土合駅着11:23

◇地形図 「水上」「茂倉岳」

 

 

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